導入事例

大分県立病院様 ネットワーク運用病院からの報告
動画サーバー(Photron Kada-Serve Kada-View)導入について

大分県立病院様

大分県立病院の平川先生、佐藤技師の共同執筆でまとめられた、月間新医療2004年5月号掲載記事からの転載文です。システム導入をお考えの方、もしくは既にシステムを導入し今後のアップグレードをお考えの方、などにお勧めの内容となっています。ユーザーの視点から見た、システム導入に関する課題や検討事項など、盛り沢山の内容です。

導入製品

病院と循環器の概要

当院は大分県大分市の郊外に立地しており、ベッド数610床の県民医療の基幹病院である。1992年8月に現在の場所に新病院となり移転、03年4月に循環器内科が新設された。
移転から12年が経過し、経営面などさまざまな点で転換期を迎えている。
その1つに05年度に循環器内科、心臓血管外科、脳神経外科等の循環器部門が連携して高度な循環器医療に対応できるようにするため、センター化して循環器センターとし循環器疾患に対する整備が行われる予定である。
循環器科の心臓カテーテル検査は現在、年間約500例程度、治療はそのうち150例程度である。センター化された場合は検査700例、治療は250例を目標としている。
一方、当院の循環器装置は老朽化のため昨年9月に新装置(シーメンス社製 フラットパネルディテクタ搭載 バイプレーン心血管アンギオグラフィシステム AXIOM Artis dBC)を導入した。その新装置導入と同時に画像保存量、信頼性、コスト面等からフォトロン社の循環器動画像ネットワークシステムKada-Serveを採用、導入した。
今回は当院の動画サーバーの構成、使用経験、将来の展望など、簡単ではあるが報告したい。

動画像ネットのポイント、データの活用状況等

図1 kada-Serveシステム構成イメージ
図1 kada-Serveシステム構成イメージ

当院が導入したフォトロン社の動画サーバーネットワークシステムの構成は、DICOM画像を保存するKada-Serve(高速DICOM動画サーバー)とDICOM画像を参照するKada-View(DICOMビューワ)とに分かれている。
動画サーバー(Kada-Serve)を血管造影室のコンピュータ室に置き、ビューワクライアント(Kada-View)を操作室と病棟にそれぞれ配置している。
サーバーと病棟とは光ケーブルでつながれており、ネットワーク環境は100BaseTX及び1GbEthernetで対応している(図1)。

1. サーバ

Kada-Serveの長所は、何よりもその高速性にあると思う。被検者の撮影データはHDDに保存されており、画像の配信はストリーミングビデオ形式を採用している。データファイルからの検索も簡単で、病棟での観察もストレスなくスムーズに行われている。
サーバーからファイルをダウンロードしながら、ほとんど時間差を感じずにそのままのファイルを閲覧できるため、アンギオ検査終了と同時に結果を患者・家族に説明することができ、患者サービスの点からも大いに役立っている。 
画像の保存についてだが、撮影後、画像は順次DICOMデータでサーバーに保存している。
Kada-Serveでは撮影したDICOMデータの保存と共に、参照用画像としてWindows Media 9形式のファイルも作成される。
サーバーのHDDの容量は約1T(960GB)あり1検査あたりのDICOMデータを約300MB(lossless圧縮)とした場合、同時に保存される参照画像(Windows Media 9ファイル)は約24MBとなる。年間症例を700例とした場合、約3年半から4年の保存量がある。 
現在の容量では、今後データ保存をすべてサーバーでカバーしていくことは困難である。現段階では循環器装置より同時にCD-Rにも保存をしているが、保存場所の問題もある。
今後の課題としてHDDの増設を行えばデータ量を増やすことは可能だが限りもあり、どの時点で患者データを更新していくかは検討課題である。

2. 信頼性

サーバーデータの安全性に関していえば、サーバーHDDはRAID5構成を使用している。
さらにRAIDデータはミラーリング構成を実現し、スペアドライブ、ストレージデータパスや機能部品をすべて二重化にしている。データ保存に関して信頼性の高いサーバー構成を実現しているため、安心して画像を保存できている。
大分県にはフォトロンの営業所がないのでサービス対応を心配していたが、故障発生の際、故障発生から半日で復旧し修理完了となった。
フォトロンのサービス体制についても全く問題はないと思う。

3. ビューワ

Kada-View(DICOMビューワ)の長所は、何といってもその使いやすさに尽きる。ウィンドウ上に割り当てられた9つのエリアで、コントラスト・フィルター・ズームをはじめとした種々の画像処理が動画を見ながらマウス操作で容易にできるため、誰が操作しても簡単に覚えることができるビューワである。
操作室のビューワには定量的冠動脈解析ソフトウェアCAASIIをインストールしており、検査が終了した時点ですぐに画像を呼び込み解析をすることができる。解析結果もネットワークプリンタを利用して血管造影室や病棟のプリンタに出力することができる。
その他の便利な機能として、エコー画像の表示機能・多彩なファイル出力機能・DSA(サブトラクション)機能などがあげられる。
当院では血管内エコー(IVUS)にボストン・サイエンティフィック社の「Galaxy」を使用しているが、これで記録したIVUS画像をKada-Viewで見ることができるので、とても便利である。
鎖骨下動脈や大腿動脈を撮影時、循環器装置にDSA機能がなくてもKada-ViewでのDSA機能によりサブトラクション画像を表示することが可能である。
また、DICOMデータをAVI・MPEG1など多彩なファイル形式で出力できるため、PowerPointなど他のファイル上に簡単にアンギオ動画をペーストでき、スライド作成や学会発表等の資料作りに威力を発揮している。

今後の展望

現在当院では動画像のネットワークは検査室と病棟だけである。DICOMデータを院内配信するには光ケーブルが必要となりコスト面等で問題となるが、Kada-ServeにはDICOMデータと同時にWindows Media 9ファイルも保存している。
参照画像(Windows Mediaファイル)は現在あまり活用していないが、Windows Mediaファイルの軽さにより今後Web配信が可能になればWebサーバーを備えることで院内のネットワークに配信することが可能である。その画像は各部のコンピュータに接続してWindows Media Player等で参照画像として観察することができる。
Windows Mediaファイルにすることで多少なりとも画質は劣化するので、そのことは十分考慮して取り扱う必要があるが、大掛かりな配線をすることなく院内のオーダリングシステム等のネットワークを利用して外来や手術室等で画像を観察することが可能となる。
また今後、IVUSやUS等他のモダリティの画像も取り入れ、それを1つのフォルダに保存、配信することで血管造影以外の画像情報を同時に観察することが可能となるであろう。

結語

フォトロン社の画像ネットワークシステムは、DICOMデータを保存しつつWindows Mediaファイルを利用することにより、参照画像ではあるが手軽に画像を配信、利用することが可能となり、将来性も兼ね備えた画像サーバーシステムであると思われる。
さらに、「Kada-View」・「Kada-Serve」の良さは、その卓越した操作性と高速性にある。初めてビューワを使われる方よりは、むしろ他のビューワを使った経験のある方のほうが「Kada-View」・「Kada-Serve」の良さをより実感できると思う。そういう意味で、現在、他のビューワをお使いの先生方こそ、ぜひ一度お試しになられてはいかがと思う。

平川洋次(ひらかわ・ようじ)
●61年熊本県生まれ。
87年九大医卒。同年より同大循環器内科、
麻生飯塚病院、国立病院九州医療センター、聖マリア病院循環器科を経て、
96年から99年まで米国ボストン医療センター。
99年から04年まで九大循環器内科等を経て、現職。
 
佐藤 潔(さとう・きよし)
●62年大分県生まれ。
85年東北大医療技術短大診療放射線技術学科卒。
同年東京厚生中央病院勤務。
86年大分県に採用され、現職に至る。

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